俺と某の電撃戦

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いかに人間の直感は自分が思ってる以上にあやふやか ファスト&スロー

 職場以外の人に職業はエンジニアですって言うとSEとかプログラマーと勘違いされることがあることに最近気付いたので、ちょっと名乗り方変えないとなって思った。




 今回の本はコチラ↓



ファスト&スロー あなたの意思はどのように考えていない決まるか?


 ノーベル経済学賞を受賞した著者による、行動経済学のバイブルの一つとして数えられる学術的なビジネス書。‥‥行動経済学と書くと難しい内容のように感じるけど、「お金と商売の心理学」と書けばより親しみやすいのではないでしょうか。上下合わせてかなりのページ数はありますが難しい言い回しはなく身近な例をたくさん出しているので、見た目に反して読みやすいです。


 では突然ですがここで一つ問題、直感で答えてみてください↓。


問題
バットとボールは合わせて1ドル10セントです。
バットはボールより1ドル高いです。
ではボールはいくらでしょう?











10セント!


 と答えてくださった方はありがとうございます、不正解です。じっくり考えてみれば分かると思いますが、正解は5セントです。バットは1ドル5セント、ボールが5セントで1ドル5セント-5セント=1ドル。でも間違えてしまったとしてもご安心を。アメリカの難関大学の学生でさえも大半が間違えたそうです。





 ではおまけでもう一つ問題、こっちも最初の文章を読んだ後に直感で答えてみてください↓。


リンダは31歳の独身女性。外交的でたいへん聡明である。専攻は哲学だった。学生時代には、差別や社会正義の問題に強い関心を持っていた。また、反核運動に参加したこともある。


次のうち、どちらの可能性が高いと思いますか?

A:リンダは銀行員である
B:リンダは銀行員で、フェミニスト運動の活動家でもある

フェミニスト:男女同権論者









B……ですかね?


 と答えてくださった方、不正解です。可能性としてよりあり得るのはAです。理由は「銀行員」という集合の中に「銀行員でフェミニスト」という集合があるので、必然的に後者の可能性は前者を下回るハズ。でもこちらも大丈夫、この問題も多くの被験者が間違えたどころか出題した著者がそれを指摘しても被験者は「なにか問題でも?」って態度だったらしいw。


 こんな感じで直感の「システム1」と孰考の「システム2」(本書のタイトル「ファスト&スロー」もこの2つの概念のことを表している)、架空の合理的人間「エコン」と実際の人間「ヒューマン」、これまでした経験全てを重視する「経験する自己」と印象的な記憶を重視する「記憶する自己」といったような2種類の概念を比較することで人間心理を見ていっている。ミュラー・リヤー錯視と同じで、錯覚だと理解した後でも違って見える・感じるほどシステム1の直感は強く不正確で曖昧であること、そして実感が湧きづらい統計よりイメージしやすい因果関係に思考は流されやすいことを読者も実際に体験しながら読めるのは非常に面白かった。「見たものがすべて」という概念も今後の生活に取り入れていきたいッスね。今回この本も図書館で借りて読んだけど、これも実際に借りて本棚に残しておきたい本の一つになりました。




 他にも平均回帰による叱咤激励とその後の成績の良し悪しとの因果関係の話は特に日常生活でも利用できそうな知識だったし、自分が昔から教訓の一つにしてる「人は100のポジティブより1のネガティブに反応する」ってのも説明がつくと改めて感じました。後知恵バイアスも他の行動経済学の本で内容は知っていたけど本書でより理解が深まりました。プロスペクト理論も同様の理由で知っていたけど、読むたびに脳を含む人の体というのは本質的なとこは狩猟採集してた原始時代からほとんど変わってないんだなって思いますね。


 余談だけど、後知恵バイアスの項を読んでてふと自分の最近の仕事の時のことを思い出した。というのも識別番号の付け方などの手続きが一目で判断つかないほど複雑になる仕組みにするように依頼元の要求があった時に、上司に「なんかこれ、いつか何かしらミスしそうですね」って言ったことがあって、実際ずっと後になってそれ由来のミスが発覚した時にやっちまったと思ったのと同時に心の中で「それ見ろ、むしろそうなるように嵌められたと思われても仕方ないでしょ」って思ったけど、これも多分後知恵バイアスだったのかもなぁって思った。




 以上、ファスト&スローの話でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。