俺と某の電撃戦

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【書籍】生命の推理小説 生物と無生物のあいだ

 今回の本はコチラ↓



 生物と無生物のあいだ


 こちらも科学の名著として紹介されていた一冊です。生物の定義は「自己複製能力を有する」等ある程度挙げられるが、その上で分子生物学者の著者が自身の研究を通して生物と無生物の決定的な違いを考察するという内容。本を手に取った時の第一印象は「ちょっとぶ厚めの新書」でした(約280ページ)。


 細胞やDNAに関する発見の歴史や自身の研究内容の話は確かに興味深くはあったのだが、「生物と無生物のあいだ」というタイトルに直接繋がるような内容ではないような……と読んでるときは思ったのよね。しかし最後の研究結果からの考察から今までの伏線が繋がって一気にタイトルに繋がる様は、まるで推理小説を読んでいるような感覚でした。結論を書くとネタバレになってしまうので伏せるが、なるほどそこが生物と無生物を分ける決定的な点であり、生命の構築はテレビを組み立てるのとはまた違うということを実感しました。


 研究の話の他に生物学者の話や著者の身の上話、日本とアメリカのポスドク・科学者事情など、正直「そこいる?」と思うような本筋とあまり関係ない話もあるけど面白いからOKですw。身の上話の時の情景描写が小説感を引き立たせていた部分もあったように感じます。あとは有名な科学者は否定的に描き、功績のある発見をしたものの脚光を浴びなかった脇役的な科学者を肯定的に紹介している印象も。あとは動的平衡の説明時に強調されて出てくる


秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。


の一文が結構気に入ってる。これを日常生活にも応用できないかなって思うけど、それだと社会ダーウィニズムと一緒になるかな。


 あとは昨今よく耳にするPCRについてもその原理を小難しい解説なしで説明してくれているので、なかなか有益なことを学ぶこともできました。今までPCRと言われても「DNAを増幅させる技術」とまでしか説明できなかったけど、これでその先について簡単な説明はできそうです(^ω^)。なるほどこうやってPCR検査では新型コロナを判別してたんだなぁ。


 私のような生物学に詳しくない人でも専門的なことを分かりやすくかつ面白い内容なので、「何か理系の本でオススメがないか」と聞かれた時に是非オススメしたい一冊です。電車の中等の喧騒の中でも思わずのめり込むように読むぐらいで、気付いたらもう目的地だったことに驚くほど(伝われこの感覚w)。




 以上、生物と無生物のあいだの話でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。